2013-05-12

@Miyagawaさんのポッドキャストep10は先日開催されたRailsconfの話が多かった。個人的にはカンザスの話が印象に残っているのでアメリカ人の視点からちょっと補足したい。

背景としては、DHHが「Rails4.0出てみんな移行しようと頑張ってると思うんだけど、2.3に留まる人たちもいるみたいだ。アメリカの大開拓時代に例えると皆一斉に"Go West!"な感じでカリフォルニアやオレゴンを目指してるんだろうけど、『うちはまあカンザスでいいかなー』って感じなんだろうね」みたいな事を言ったそうな。**

会場は大爆笑だったらしいし、実際僕も声を出して笑ってしまった。けどポッドキャストを聞いていると、「アメリカ史」を知らないと何がそんなに面白いのか分からないらしい。確かに言われてみればアメリカの地理とかカンザスがどんなイメージなのかを知らないと正直イミフだ。なのでジョークを解説されるほどジョークを殺すものは無いと知りつつも、少しばかり説明したい。

まずは大開拓時代だけど、これは連邦政府が未開の領地を開発するために無償で土地を市民に与えたのがきっかけで、より良い明日を求めて一家全員で全財産を持ち、キャラバンで命がけで与えられた「西」の土地を目指したり、また別の時代ではカリフォルニアで金を掘り当てて一攫千金のために西を目指したりなど、聞くと夢やロマンや人々の希望や苦しみを連想させられるフレーズなのだ。[1]

次にカンザスだけど、1821年には既にミズーリ州が開拓されているので、地理的にもお手頃感がある。同時期にメキシコがスペインから独立して国境を開け放ったことで、西部開拓は「手近な中西部で手を打つ」か「最果てまで西に行くか」で二極化する[2]。なので1800年代の開拓時代においてカンザスは「妥当なところで手を打とう」となる。

けどこれだけだと「俺今うまいこと言った!」で終わってしまう。そこで今現在のカンザスのイメージを引っ張って来よう。カンザスは「いいところ」だけど、結構な田舎なイメージだ。今でこそGoogle Fiberがロールアウトしてちょっとナウな感じになっているが、オズの魔法使いのカンザスとドロシーのあのド田舎イメージを幼少期に植え付けられる儀式を誰もが通過するので、実際のカンザスがどうであれ、田舎イメージは付きまとう。

あえてまとめるなら、「みんなは『ガンガンいこうぜ』で頑張ってるけど、『いのちだいじに』で縮こまってる連中もいるな」だろうか。「おまえらちょっとださいよ」という意味もあるだろう。このギャップと会場のテンションとが相まって笑ってしまう。**

さてこんな解説をしてしまったせいできっと肝心のジョークは全く面白く無くなってしまっただろうからそろそろ幕引きにしよう。*踵を3回打ち合わせて彼方へと飛び去っていく*

**@miyagawaさんの情報を元に一部訂正しました。
[1] http://www.u-s-history.com/pages/h276.html
[2] 当時メキシコは現在のカリフォルニア、テキサス、ニューメキシコを含む広大な国だった。まあ今でも十分でっかいけど。