グーグルの初期のエンジニアのひとりにChade-Meng Tanというエキセントリックな人がいる。訪問する著名人とツーショットを撮りまくってることで知られていたり、Eric Schmidtにはトラブルメイカーと冗談半分に呼ばれたりと一風変わった人だ。ちなみに現在のグーグルでの肩書きは"jolly good fellow"、「ハッピーないい奴」らしい。
そんなおちゃらけた彼だが、2011年に「正しいことをして、クビにされるのを待つ 」正しいことをして、クビにされるのを待つ (Do the Right Thing, Wait to Get Fired)というちょっとまじめな記事を書いているので紹介したい。
New Google employees (we call "Nooglers") often ask me what makes me effective at what I do. I tell them only half-jokingly that it's very simple: I do the Right Thing for Google and the world, and then I sit back and wait to get fired. If I don't get fired, I've done the Right Thing for everyone. If I do get fired, this is the wrong employer to work for in the first place. So, either way, I win. That is my career strategy.
I discovered where I got this rebel streak from only very recently. I realized I inherited it from my dad, which was very strange to me because when I was growing up, I perceived my dad as an establishment figure, part of the very establishment I was rebelling against, so it was a severe cognitive dissonance for me to think of my dad as a rebel. But rebel he was.
My dad started his career as a child laborer (yes, one of those millions of faceless children in developing countries you read about occasionally on National Geographic), but by mid-career, he rose up the ranks to become one of the most senior military officers in all of Singapore. I recently learned that one reason he was so successful was because he was unafraid to speak the unpleasant truth to his superiors to their faces, including Defense Ministers and Prime Ministers. Near the end of his military career, one of his superiors asked him what made him so effective. My father replied, "It's very simple. Everyday on my drive home, I would pass by HDB flats (public housing in Singapore) and I would always take an extra look at them. Why? Because after you fire me, that is where I'd live."
Some day, when you reach my old age, spend some time talking to your father about his career, you may be pleasantly horrified to discover how much you are like your father.
グーグルの新入社員(社内ではニューグラーってよんでる)はよく僕に「あなたの仕事の秘訣はなんですか?」って聞いてくる。僕は冗談半分(けど冗談は半分だけ)にこう返す:僕はグーグルと世の中にとって正しいことをして、あとはクビになるのを待つんだ。クビにならなかったらみんなのために正しいことをしたってことだ。逆にもしクビになったらもともとこの雇い主のところで働くのは間違ってたってことだ。どっちにころんでも僕にとってはいい結果になる。win-winだ。これが僕のキャリア戦略だ。
実は僕の反乱癖がどこから来たのかが分かったのはごく最近のことだ。僕のこの習性は父さん譲りだということだと分かったんだけど、正直妙な気分になった。なぜなら僕は父のことは反乱者としてはなく反乱の対象そのものとして見ていたからだ。なので父さんを「反乱者」としてとらえるのはちょっと難しかった。だけど父はやはり反乱者だった。
父さんな「キャリア」は児童労働者から始まったが(そう、ナショナルジオグラフィックでたまに出てくる名もない発展途上国の子供たちのあれだ)、キャリア中間にもなるとシンガポール軍でもっとも上位の将校になっていた。最近知ったのだが、父がこうも成功した理由に一つは不都合な真実を国防総監や総理大臣も含む上司に面と向かって言うことを躊躇しなかったかららしい。父のキャリアも終わりに近づいたころ、上官のひとりが父をこうも効果的たらしめている秘訣は何かと聞いたそうだ。父はこう言った、「簡単な事です。私は毎日家に帰るときにHDB住宅(シンガポールの公営住宅)のそばを通るのですが、必ずもう一度しっかり見るようにしています。あなたが私をクビにしたあとは私はそこに住むことになるからです。
いつか僕くらい年を取ったら父のキャリアについて話してみるといいよ。いかに父親に自分が似ているか面白くもぞっとするかもしれない。
自分の身を顧みない「正しいこと」をしつづけて生きるのは倫理的に生きれて精神的にも健康的に生きれると思う。変はストレスや悩みを抱え込んでしまうことも減ると思う。
けどクビになった後に問題なく今と同等の仕事にありつける絶対の自信が無い限り、利口な生き方ではないと思う。そしてたとえ自分が倫理的に生き、仕事をしていても、そうでない人を卑下にしてはいけないのかもしれない。だれもが自分ほど能力、選択肢、経歴、ネットワークに恵まれている訳ではないし、自分ほど身軽ではないかもしれない(妻子持ちなど)。
筆者の生き方は倫理的は強者の生き方の理想型かもしれないが、それを弱者に強要したらその時点で自分のモラルは損なわれるのではないかと感じている。
自分は自分のモラルに基づいて生きるがそれを回りに強制はしない。困難な生き方だけど正しさで言えばそれが一番正しいのではないだろうか。その生き様を示すことにより可能な範囲でまわりの人間も行動を改める可能性を作る。それでいいのではないかと思う。
筆者が僕にそういう影響を与えてくれたように。