周知のことだけど、メディアの人間の容姿と日常生活でのそれはかけ離れている。それは俳優やモデルなどの人間の容姿がそもそも一般的なものから大きく離れている事もあるけど、それよりも大きいのが化粧、証明、写真加工などの要素だ。「メディア」と言ってもいろいろあるけど、「普通」からは以下の順で逸脱していると思う。
- 紙媒体(ファッション紙、ヌード雑誌、グラビアなど[1])
- 映画(特にハリウッド)
- ファッションショー
- テレビドラマ
要するに、より深く手を加えることができるほど、そしてアウトプット対して予算が大きいほど、「現実」から離れていく。
恐ろしいのは、これらのメディアにて、昇華された美貌の女性たちを目にするほど、自分のスタンダードが歪曲していくのを実感するからだ。作られた美しさだと頭で分かっていても、綻びの無い美しさを目にする度に、自分の中の「普通」が変わっていくのを感じる。そしてその歪曲した美のスタンダードに合わせて化粧やダイエットを行わなければならない、女性にとってもアンフェアではないかと思う。
人間が相対的にものを感じる生き物だということは、様々な実験に裏付けされている。舌が甘さを感じるメカニズムのように、人の目と脳が美しさを感じるのも相対的な感性なのではないか。もしそうなら、このような作られた美貌に触れるのは、友達付き合にも恋人との関係にも、害しか及ぼさない。
友人にこの話をしたら、「言ってることは分かるけど、メディアを避けるのはほぼ不可能じゃないか」と一蹴された。残念なことにその通りだと思う。僕はここ十年ほどはほとんどテレビを見ていないし、映画も毎年数本しか見ないが、ネットを徘徊するだけでフォトショ加工された女性達のイメージが角膜に飛び込んでくる。実はもうちょっと頻繁に映画は見たいと思っているので、そうすると自然と偶像に晒されることになる。出来ることなら自分をメディアから隔離したい。けどそれはそれで弊害が大きすぎる。
そんな中で、自分の出来ることは何だろう。とりあえず卑猥な広告なんかはAdblock Plusでブロックすればいいだろう。映画やテレビではこんな直接的な手は使えないけど、ダメージを軽くする方法は何かしらあるかもしれない。
なるべく各種メディアを取捨選択しつつ、「これは幻だ。これは幻だ。」と念仏を唱えてみるのもいいかもしれない。
今日は機内で映画を四本見たが[2]、早速念仏を唱えることにしよう。
[1] 日本のグラビアそのものが色々とおかしいと前々から思っているのだけど、それはまた後日。
[2] 実は2013年に見た映画の総数よりも多いかもしれない。